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節税対策
このページでは、節税について全体的なお話をします。
まず、節税方法の全体像を4つの切り口でお話します。
顧問税理士の役割は、単に税金計算だけなのでしょうか??
(1)お金を使う節税
お金を使う節税とは、実際にお金を使った分だけ、費用、経費(損金)が増えて、その費用増加に対して、法人税等の税率を掛けた分、税金が安くなるという節税方法です。具体的な数字で話すと、100の費用を支払って節税した場合、法人税等がおよそ40程度安くなります。そのため、100-40=60の正味の現金支出で100の費用を計上できたことになります。 逆の言い方をすると、お金を使う節税は、かならず節税額40以上にお金の支出60が多いということになります。したがって、このお金を使う節税は、やればやるほど、手元資金が無くなっていきます。節税貧乏とは、正にこのことです。
(2)お金を使わない節税
お金を使わない節税とは、節税対策を実施して会計処理(または税務処理)をすることで税金を安くする節税方法です。これは、決算時点では、お金の支出を伴わないため、会計処理(税務処理)して費用又は損失(損金)計上した金額に法人税等の税率を掛けた分だけ税金が安くなるというすばらしい方法です。あるいは、税額控除と言って、税金を直接減らすことができる申告(税務処理)をすることで、税金を安くする方法もあります。
(3)課税の繰延べ(一時的な節税)
課税の繰延べによる節税とは、当期の収益(益金)を繰延べて来期以降の収益(益金)としたり、来期以降の費用(損金)を当期の費用としたりする方法など、税法の範囲内で利益(課税所得)を先送りする方法です。 当然ですが、先送りする期間まで課税所得を合算すれば、課税所得の合計額は、節税前と節税後で同じ金額になります。ただ、法人税等の税率に変更がある場合、例えば、将来の税率が引き下がる場合には、その引き下げ税率分だけ、税金負担が少なくて済みます。
(4)根本的な節税(永久的な節税)
根本的な節税とは、利益(課税所得)の単なる先送りではなく、純粋に税金を安くする節税方法です。課税所得に加算されてしまう交際費を減らしたり、各種の税額控除の特例を活用したりして、期間のズレではなく純粋に税金を安くする方法です。
主な節税方法を上記の4つの切り口でまとめると、
(3)課税の繰延べ (一時的な節税) |
(4)根本的な節税 (永久的な節税) |
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(1)お金を使う節税 | 役員退職金の支給 節税保険の活用 オペレーティングリースなどの節税商品 決算期末までの修繕 |
試験研究費の税額控除 寄付金の損金算入可能枠の活用 |
(2)お金を使わない節税 | 貸倒損失、貸倒引当金の計上 法人負担の社会保険料の未払計上 含み損のある資産の売却処分 |
税務上の交際費の範囲の見直し 消費税の簡易課税制度の活用 |
具体的な節税方法が、この表のどの部分に該当するのか、きちんと理解した上で節税方法を選択する必要があります。例えば、手元に資金(キャッシュ)がないなら、できるだけお金を使わない節税方法を選択する、将来の役員退職金の支給に備えて節税したいのであれば、課税の繰延べを検討する、などです。
続いて、節税に関してよくお客さまから質問を受ける話題について、順番に説明していきます。
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1
節税と脱税の違い日本の税制は、申告納税制度を採用しており、納税者(会社や個人事業者)が自ら税法に基づいて決算書や税務申告書を作成して、税金を納める仕組みになっています。
税法に従っている限り、節税です。しかし、税法に従っていない方法により税金を安くする行為は脱税行為です。一般的には、売上を除外してしまう、在庫数量をごまかしてしまう、経費を水増しするなどの行為は脱税行為です。
実務上は、税法に従っているか、あるいは従っていないかについては、解釈の幅があるのも事実です。一般的には、グレーゾーンと言われますが、グレーな部分に関しては、私たちは、当然、納税者に有利な解釈で税法と適用しようと考えます。ところが、税務署は、適正な課税の見地から、税法を適用しようと考えるため、そこに見解の相違が生まれます。なお、このグレーな部分については、明確に税法に従っていないと言えるものではないため、決して脱税とはなりません。 -
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中小企業と
節税ニーズ企業にとって、税金は、それを支払うことによって受ける利益とは無関係に支払うコストです。受ける利益(社会的なサービス)が変わらないのであれば、できるだけ最小限にしたいと経営者が考えるのも無理はありません。ましてや、中小企業のオーナー社長としては、所有と経営が一致している場合が大半ですので、できるだけ法人、個人合わせて節税をして最小限のコスト(税金)で、社会的なサービスを受けたいと考えます。そのため、中小企業では、大企業以上に節税のニーズは高いのです。
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節税のしすぎお金を使う節税の代表である節税保険やオペレーティングリースなどの節税商品を活用することで、利益(課税所得)の先送りをすることができます。しかし、それは、決算書に費用又は損失として計上する必要があるため、会社規模に見合わない大きな節税をすることによって、会社の決算書をゆがめてしまうおそれがあります。節税に一生懸命で決算書の内容を悪くしてしまい銀行の格付けが下がってしまったり、節税保険で翌年以降の保険料の支払いに銀行借り入れが必要だったり、身の丈(会社規模)を超えた節税には注意が必要です。
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4
通達と脱税日本は租税法律主義に基づいて、税金に関する法律によってのみ、納税者である会社や個人は税金を課税される仕組みになっています。その根拠は、
日本国憲法第84条【課税の要件】「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」
です。税金を課税するには、法律つまり法令によって明文化する必要があり、法律が無ければ課税も生じないということです。
法律(法令)とは違いますが、国税や税務署がよく「通達」という言葉を使います。私たち税理士もよく使います。この通達には、2種類あります。
1)法令の解釈に関する通達
2)事務運営に関する通達
これらの通達は、上級官庁である国税庁が、国税局や税務署に対して、法令に関する解釈について説明したり、事務運営のあり方を指導したりする内部通達です。内部通達であるため、国税職員や税務署員は公務員としてこれらの通達に従う義務があります。 しかし、これらの内部通達は法令ではありませんので、納税者を拘束するものではありません。過去には法令に従っていない通達について裁判で争われて、納税者が勝訴することで通達自体が改正された事例はいくらでもあります。そのため、通達に従っていないとしても、法令に従って申告・納税がなされているのであれば、決して脱税には当たりません。 -
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節税本の鵜呑みは危ない世の中には節税に関して書かれた本はたくさんあります。さらに、毎年、出版もされます。それだけ、節税に関する関心が高い証拠だとも言えますが、節税本の内容に関しては、注意が必要です。
<注意>
1.法令が毎年、変更になる(常に法令が改訂された最新版でないと意味が無い)
2.前提条件が異なれば使える節税方法が変わる(すべての前提条件を網羅して節税方法を説明することはできない)
3.誇張された表現の記載が多い(単なる課税の繰延べをあたかもずっと税金が得したかのように表現)
など、経営者の方が単純に節税本だけを利用して節税するには、かなりのリスクが伴います。節税本を利用する場合には、ヒント程度にとどめて、自社に適用できるか、顧問税理士ときちんと相談するのがいいでしょう。
以上、ざっと節税に関する話題について、コメントしました。 どうですか、読まれた感想は? しっかりとした税務知識に基づいて経営に与える影響も考慮した節税は行うべきですが、過度な節税や脱税は絶対にしてはいけません。 そのあたりはきちんと専門家である税理士のアドバイスのもとで行いましょう!