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試験研究費の税額控除3年繰越可能に
2026年07月28日
中小企業の研究開発税制とは?試験研究費の12%以上を法人税から控除
青色申告書を提出する中小企業者等が、製品・技術・サービスの開発や改良のために試験研究費を支出した場合、その一定割合を法人税額から直接差し引ける制度があります。これが「中小企業技術基盤強化税制」です。
基本となる税額控除率は試験研究費の12%です。例えば、税法上の対象となる試験研究費が100万円であれば、基本の税額控除額は12万円となります。ただし、実際に控除できる金額は、その事業年度の法人税額や控除上限などによって変わります。
令和8年度税制改正では、一定の要件を満たす場合に、控除しきれなかった金額を3年間繰り越せる制度も設けられました。この記事では、中小企業が研究開発税制を活用するための基本と、実務上の準備について、公認会計士・税理士が分かりやすく解説します。
基本の控除率は12%、法人税額の25%が原則上限
中小企業技術基盤強化税制では、対象となる試験研究費に原則12%の控除率を掛けた金額を、法人税額から控除できます。通常の経費として損金に算入したうえで、さらに法人税額から直接控除できる点が、この制度の大きなメリットです。
例:対象となる試験研究費が100万円の場合
100万円 × 12% = 基本の税額控除額12万円
控除できる金額は、原則としてその事業年度の法人税額の25%が上限です。試験研究費の増加割合など一定の要件を満たす場合には、控除率が最大17%、控除上限が法人税額の最大35%まで上乗せされることがあります。なお、対象となる「中小企業者等」の判定は、資本金1億円以下であることだけでなく、大法人との資本関係や所得金額なども含めて確認が必要です。
令和8年度改正で、控除しきれない金額を3年間繰越し可能に
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、中小企業技術基盤強化税制でその年度に控除しきれなかった「繰越税額控除限度超過額」を、一定の要件のもとで3年間繰り越して控除できるようになりました。
繰り越した金額を控除するためには、控除を受ける事業年度の試験研究費が「比較試験研究費」を超えていることが必要です。単純に未控除額を翌期以降へ持ち越せば必ず使えるわけではなく、研究開発投資を継続・増加していることが重要になります。
また、繰越控除を受けるためには、控除しきれなかった金額が生じた事業年度以後も、必要な明細書を確定申告書に継続して添付するなどの手続が必要です。初年度から適切に申告しておくことが大切です。
製造業以外の研究開発も対象になる可能性があります
研究開発税制には、製造業だけを対象とする業種の限定はありません。製品の試作や素材の改良だけでなく、一定の要件を満たすソフトウェアやサービスの開発なども対象になる可能性があります。
他社ですでに採用されている技術であっても、自社にとって新たな知見を得るための試験研究であり、税法上の要件を満たすものであれば、直ちに対象外になるわけではありません。一方、通常の製品製造、単なるデザイン変更、販売目的の市場調査、日常的な品質管理などは、一般に対象となりません。研究の目的や内容を個別に確認する必要があります。
対象になり得る試験研究費
税額控除の対象となる可能性がある費用には、主に次のようなものがあります。
- 原材料費:試作品や実験に使用する材料、部品など
- 経費:試薬代、測定機器の使用料、技術資料・書籍代、サンプル購入費、仮想試作ソフトの利用料など
- 減価償却費:研究開発に使用する3Dプリンター、測定機器、実験装置、ソフトウェアなどの減価償却費
- 人件費:専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する従業員の人件費
- 外部委託費:分析機関への分析料、大学等への研究委託費、試作品の製作費など
同じ名称の費用であっても、実際の使用目的や従事状況によって対象になるかどうかが変わります。請求書や領収書だけでなく、研究テーマ、実施期間、担当者、作業内容、成果や失敗の記録なども保存しておくことをお勧めします。
適用を受けるために、経理処理を早めに整えましょう
決算時になってから1年分の試験研究費を拾い出すと、対象費用の漏れや、通常業務の費用との混在が起こりやすくなります。会計ソフトに「試験研究費」などの補助科目を設ける、研究開発用の部門・タグを設定する、案件別に集計表を作成するなど、日頃から区分して記録しておくことが重要です。
- 研究テーマごとに目的・内容・期間・担当者を記録する
- 原材料費、外注費、機器費などを補助科目や部門で区分する
- 研究担当者の作業日報や工数表を保存する
- 申告に必要な明細書を毎期継続して作成・添付する
特に人件費は、「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事しているか」が重要です。研究開発以外の業務を兼務している場合は、対象範囲について慎重な検討が必要になります。
土井会計事務所の研究開発税制サポート
土井会計事務所では、試験研究の内容や支出の実態を確認し、税額控除の対象となる費用の整理、日常の経理方法、決算時の税額控除額の試算、申告書・明細書の作成までサポートします。
製造業はもちろん、ソフトウェア開発、建設・設計、サービス開発などについても、研究開発に該当する取り組みがないかを確認します。制度を確実に活用するためには、決算直前ではなく、研究開発を始める段階から記録方法を整えることが効果的です。
自社の取り組みが研究開発税制の対象になるか分からない方、試験研究費の集計方法を整えたい方は、土井会計事務所までお気軽にご相談ください。
お電話受付 9:00~17:30
※本記事は2026年7月28日現在の法令・制度に基づいて作成しています。適用対象、控除率、控除上限および対象費用は、法人の状況や事業年度等によって異なります。制度改正等により取扱いが変更される場合があります。
文責:公認会計士・税理士 土井竜二