2011年12月29日
定率法の償却率は、定額法の償却率に250%を乗じた率を定率法の償却率としていましたが、平成23年度の税制改正で、この乗じる率が250%から200%に改正されました。
これにより、従来よりも、ゆるやかに償却が行われることになります。
〔具体例〕
耐用年数 |
定額法償却率 |
定率法償却率 |
||
改正前(250%定率法) |
|
改正後(200%定率法) |
||
4年 |
0.250 |
0.625 |
→ |
0.500 |
5年 |
0.200 |
0.500 |
→ |
0.400 |
10年 |
0.100 |
0.250 |
→ |
0.200 |
25年 |
0.040 |
0.100 |
→ |
0.080 |
〔原則〕
平成24年3月31日以前に取得した資産 |
250%償却率 |
平成24年4月1日以後に取得した資産 |
200%償却率 |
ただし、3月決算以外の会社は、期中に取得する資産について、定率法の償却率が異なることになるため、平成24年4月1日をまたぐ事業年度(平成24年4月1日より前に開始し、平成24年4月1日以後に終了する事業年度)中に取得した資産については、以下の2つの経過措置が認められています。
〔経過措置①〕
平成24年3月31日以前に取得した資産 |
250%償却率 |
平成24年4月1日以後に取得した資産 |
250%償却率 |
この経過措置①は、この事業年度のみ適用できますので、翌事業年度に取得した資産は、200%償却率が適用されます。
もう1つの方法として、250%定率法を採用している既存の資産を、200%償却法に変更することも認められます。この場合には、耐用年数の期間内に償却が終了しないため、以下の経過措置②が認められています。ただし、平成24年4月1日以降に最初に終了する事業年度の申告期限までに届出書の提出が必要になります。
〔経過措置②〕
平成24年3月31日以前に取得した資産 |
200%償却率に変更 ※耐用年数期間に償却を終えたい場合は、届出書の提出が必要 |
平成24年4月1日以後に取得した資産 |
200%償却率 |
どちらの経過措置を使った方が有利でしょうか?
従来の250%償却率を継続適用できる経過措置①が、早期の償却ができて有利です。しかも、既存資産の250%償却率を変更する必要がなく届出も不要であることから、事務手間の面でも経過措置①が有利です。
(橋本今日子)