2012年1月18日
会社や個人事業主の方が事業のために所有している土地・建物以外の有形固定資産で、その減価償却費が法人税法、所得税法上の所得の計算において損金又は必要経費となるものは償却資産として固定資産税の対象となります。
固定資産税の対象となる償却資産の範囲、評価方法については、法人税、所得税(以下、国税)と概ね同様の取り扱いとなりますが、一部異なる部分がありますので注意が必要です。
以下、償却資産申告のポイントを解説します。
①特別償却・割増償却制度がない
国税では、産業政策や投資促進などを目的として、様々な特別償却制度が租税特別措置法によって定められています。これらの制度を利用すると、通常よりも多く減価償却を行うことができますが、固定資産税ではこの制度が認められていません。そのため、特別償却適用前の帳簿価額を基に申告することになります。
②評価額の最低限度は5%
国税では、減価償却は備忘価額である1円まで行うことができます。一方、固定資産税では取得価額の5%が評価額の最低限度となります。つまり、国税の計算上では償却済の資産であっても、毎年1月1日現在で事業上使用可能な状態であれば固定資産税申告の対象となります。そのため、償却済の資産は会計上きちんと除却しておくようにしましょう。
③中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
国税では、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その全額を損金又は必要経費に算入できるという特例があります。固定資産税では、この特例は認められておらず、損金又は必要経費に算入した減価償却資産についても申告の対象となります。
④一括償却資産は申告不要
取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、3年で均等償却する一括償却を選択することができます。一括償却により減価償却を行った資産は、償却資産の申告は不要です。(本来の耐用年数を用いて減価償却を行った場合は申告が必要になります。)
⑤リース資産は所有者が申告
リース資産の申告義務は、原則として資産の所有者であるリース会社にあります。ただし、リース期間終了後に譲渡される契約であるなど、実質的には割賦購入であると認められる場合には借主に申告義務があります。
⑥免税点制度がある
課税標準額が、150万円未満の場合は課税されません。(150万円未満であっても償却資産の申告は必要)
⑦提出先は資産のある場所ごとに申告
償却資産が所在している市町村(名古屋市では区)ごとに申告書を作成し、提出する必要があります。
償却資産申告書の提出期限は1月31日です。ご提出はお忘れなく。
(長谷川賢哉)