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経営セーフティ共済(倒産防止共済)とは?決算対策で活用する際のポイントを税理士が解説

2026年09月18日

経営セーフティ共済(倒産防止共済)とは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先が倒産し、売掛金などの回収が困難となった場合に、事業資金の借入れを受けることができる共済制度です。

一方で、支払った掛金を一定の要件のもとで損金に算入できることから、法人の決算対策として活用されることも多い制度です。

ただし、経営セーフティ共済は単純な「節税制度」ではありません。掛金を支払ったときには損金に算入できますが、将来、解約して受け取る解約手当金は益金となります。

そのため、加入時だけでなく、将来の解約時期まで考えて活用することが重要です。この記事では、経営セーフティ共済の仕組みと、決算対策として利用する際のポイントについて、公認会計士・税理士が分かりやすく解説します。

掛金は月額5,000円から20万円、積立上限は800万円

経営セーフティ共済の掛金は、月額5,000円から20万円まで、5,000円単位で設定できます。掛金残高が800万円に達するまで積み立てることができます。

法人の場合、支払った掛金は、法人税申告書に所定の明細書を添付するなど一定の要件を満たすことで、税務上の損金に算入できます。

40か月以上納付すると、任意解約でも原則100%が戻ります

掛金を40か月以上納付していれば、自己都合による任意解約の場合でも、解約手当金の支給率は100%となります。ただし、納付月数が40か月未満の場合には、納付した掛金総額を下回ることがあります。

将来の資金を積み立てながら、掛金支払時には損金算入による税負担の繰延べを図ることができますが、受け取った解約手当金は、その事業年度の益金となります。

経営セーフティ共済は、掛金の支払いによって税金が完全になくなる制度ではありません。掛金を支払った時点から、将来、解約手当金を受け取るまでの間、課税を繰り延べる制度と考えると分かりやすいでしょう。

1年分、最大240万円の掛金を前納できます

経営セーフティ共済の掛金は、前納することができます。前納期間が1年以内であれば、一定の要件のもとで、支払った事業年度に最大12か月分を損金に算入できます。

月額掛金を上限の20万円とした場合
20万円 × 12か月 = 最大240万円

新規加入の場合でも、決算前に加入手続きを行い、所定の期限までに前納掛金を支払うことができれば、最大240万円をその事業年度の損金に算入できる場合があります。

ただし、決算直前では、加入申込み、書類確認、口座登録、前納申出などの手続きが間に合わない可能性があります。決算対策として利用する場合は、余裕をもって準備することをお勧めします。

決算書では資産計上し、税務上は損金算入する方法もあります

経営セーフティ共済の掛金は、法人税申告時に必要な明細書を添付することで、税務上、損金に算入できます。一方、企業会計上は、掛金を費用処理せず、「保険積立金」などとして資産計上する方法もあります。

会計上:資産計上

税務上:損金算入

この場合、会計上の利益を減少させず、法人税申告書で税務上の所得を減少させることができます。会計上と税務上の処理が異なるため、申告調整と将来の解約時の処理を適切に管理する必要があります。

金融機関に決算書を提出している会社では、決算書上の利益や自己資本への影響も考慮しながら、会計処理を検討することが重要です。

「節税」よりも「課税の繰延べ」と考える

経営セーフティ共済は、支払った掛金を損金に算入できるため、「節税」として紹介されることがあります。しかし、解約手当金を受け取った場合には、その金額が益金になります。

例えば、掛金800万円を積み立てて解約し、800万円の解約手当金を受け取った場合、その800万円は原則として受け取った事業年度の益金となります。

そのため、「掛金を支払う年度の税金を減らす」ことだけでなく、「将来いつ解約するのか」「解約する年度の利益はいくらになるのか」「解約手当金を何に使うのか」まで考えることが重要です。

例えば、設備投資や役員退職金など、大きな費用が発生する年度に解約し、解約手当金による利益と費用を組み合わせる方法が考えられます。加入時だけでなく、将来の「出口」まで計画して利用することが大切です。

2024年10月以後の解約・再加入には注意が必要です

2024年10月1日以後に共済契約を解約し、その後再加入した場合は、解約の日から2年を経過する日までの間に支払った掛金について、法人では損金に算入できません。

そのため、「40か月以上掛ける、解約する、すぐに再加入する、再び掛金を損金にする」という利用方法では、再加入後2年間の掛金について税務上のメリットを得られません。

解約する場合は、解約手当金が益金となることに加え、再加入の予定と再加入後の掛金の取扱いまで含めて検討する必要があります。

決算対策として利用するときの確認事項

経営セーフティ共済を決算対策として利用する場合は、単に「掛金をいくら支払うか」だけで判断しないことが重要です。

  • 今期の利益と法人税等はいくらになる見込みか
  • 掛金をいくら支払うのが適切か
  • 決算書では費用計上するか、資産計上するか
  • 掛金の支払いによって資金繰りに無理が生じないか
  • 将来いつ解約するか
  • 解約する年度の利益はいくらになる見込みか
  • 解約手当金を何に利用するか

制度の仕組みは比較的シンプルですが、決算対策として有効に活用するためには、会社の利益、税額、資金繰り、会計処理、将来の事業計画まで含めて判断することが重要です。

土井会計事務所の決算対策

土井会計事務所では、決算直前になってから税額を確認するのではなく、原則として決算2か月前を目安に、決算時点の利益と税額を予測します。

そのうえで、経営セーフティ共済をはじめ、会社の状況に応じた決算対策・節税対策を検討します。掛金支払時の効果だけでなく、資金繰り、決算書の表示、将来の解約時期まで含めてご提案します。

経営セーフティ共済への加入や前納を検討されている方、決算前の利益や税額について不安がある方は、土井会計事務所までお気軽にご相談ください。

お電話受付 9:00~17:30

※本記事は2026年9月20日現在の法令・制度に基づいて作成しています。加入資格、損金算入の要件、解約手当金の金額等は、契約状況や法人の状況によって異なります。制度改正等により取扱いが変更される場合があります。

文責:公認会計士・税理士 土井竜二